mamekoこんにちは。ブログ「ワキガ専科」管理人のまめこです。ワキガ体質で30年間体臭の悩みと向き合ってきたwebライターです。
「なんだかワキが臭う…」「胸やデリケートゾーンのニオイが気になるけど、誰にも相談できない…」
あなたの抱えるそのニオイの悩み、実はすべて「アポクリン汗腺(アポクリンかんせん)」という、体の特別な場所にある汗腺が原因かもしれません。
この記事では、ニオイの根本原因であるアポクリン汗腺の秘密を、科学的な根拠に基づきながら、わかりやすく徹底解説します。
アポクリン汗腺が原因の匂いや体臭とは?わかりやすく徹底解説
1. 汗腺は2種類!アポクリン汗腺は老廃物を出す
私たちの体には、大きく分けて2種類の汗腺があります。ニオイ対策の第一歩は、この違いを理解することです。


① エクリン汗腺:全身にある体温調節のための汗
- ある場所: 全身のほとんど。
- 汗の特徴: 成分の99%が水、残りは塩分など。サラサラで透明で無臭。
- 役割: 体温調節(熱いときに気化熱によって体温を下げる)。
② アポクリン汗腺:ワキなどにある体臭の元となる汗


- ある場所: ワキ、耳の中、乳輪(胸)、へそ周り、デリケートゾーン、肛門周りなど、限られた場所。
- 汗の特徴: 水分だけでなく、タンパク質、脂質、アンモニア、鉄分などのニオイの元になる成分を豊富に含む。
- 役割: 思春期に活発化し、フェロモン的な役割もあると考えられています。
2. アポクリン汗腺のニオイができる「2つのメカニズム」


ニオイの元凶であるアポクリン汗腺ですが、この汗が出ただけでは、実はまだニオイません。ニオイが発生するには、次の2つのステップが必要です。
STEP 1:ホルモンと神経による「スイッチON」
アポクリン汗腺は、エクリン汗腺とは違うタイミングで働き汗を出します。
- ホルモンの影響: 思春期になると分泌される性ホルモン(アンドロゲンなど)によって、アポクリン汗腺が活発化します。
- 交感神経の影響: 緊張、不安、ストレス、興奮といった心の動きがあると、体の交感神経が強く刺激され、アポクリン汗腺が一気に活動を始めます。(これが「緊張すると急に臭う」原因です!)
STEP 2:常在菌による「分解」と「ニオイの発生」


私たちの皮膚には、「常在菌」と呼ばれる菌がたくさん住んで、皮膚の健康状態を左右しています。
アポクリン汗腺から出た栄養たっぷりの汗は、皮膚の表面にある常在菌(特にジフテロイド菌など)によって分解されます。


この分解の過程で、独特の揮発性脂肪酸などのニオイ物質が作られ、これが独特の体臭として空気中に広がるのです。
常在菌は、皮膚の奥深い場所や毛穴に住んでいるので、普通に洗っただけでは殺菌することは不可能です。



体臭を気にして、殺菌作用のある石けんで洗いすぎてもNG。皮膚フローラのバランスが崩れて、逆に肌荒れや臭い悪化の危険があります。
アポクリン汗腺が匂う人と匂わない人がいる理由
アポクリン汗腺が原因の体臭は、その汗腺を持つ量や、ワキに住む菌の種類によって、大きく差が出ます。
ニオイの強さを分ける、決定的な3つの要素を解説します。
1. アポクリン汗腺の「量」
最も大きな違いは、単純に「ニオイの元を出す汗腺」の数です。
| 特徴 | ニオう人(ワキガ体質) | ニオわない人(非ワキガ体質) |
| アポクリン汗腺の数 | 非常に多い(多い人で数十万個) | 少ない(ニオう人より密度が低い) |
| 汗腺の大きさ | 大きい(活発に活動する) | 小さい(活動が穏やか) |
| 結果 | ニオイの成分が濃い汗が大量に出るため、ニオイが強くなる。 | ニオイの元となる汗の量が少ないため、ニオイが目立たない。 |
ワキガ体質の人の脇には、ニオイの元となるアポクリン汗腺が非ワキガ体質の人に比べて、数倍の密度で存在すると言われています。この汗腺の数は遺伝によって決まるため、親から子へと受け継がれやすいのです。
2. 汗腺の「質」(ニオイの成分の濃度)
汗腺の数だけでなく、その「汗の中身」にも違いがあります。
アポクリン汗腺から出る汗には、ニオイの元となるタンパク質や脂質が多く含まれています。
- ニオう人:アポクリン汗腺の活動が活発なため、ニオイの元となる成分の濃度が非常に濃い傾向があります。そのため、少量の汗でもニオイが強くなります。
- ニオわない人:汗腺の活動が穏やかで、汗の成分濃度が低いため、ニオイの元となる物質が少ないです。
3. 皮膚の「常在菌の種類」(ニオイの発生源)
アポクリン汗腺の汗がニオうかどうかは、ワキにどんな菌が住んでいるかにも大きく左右されます。
ワキの皮膚には、約20種類の常在菌が住んでいます。
| 特徴 | ニオう人(ワキガ体質) | ニオわない人(非ワキガ体質) |
| 菌の構成 | ジフテロイド菌やブドウ球菌など、ニオイ物質を作り出す菌が優勢。 | 表皮ブドウ球菌など、ニオイを作らない菌が優勢。 |
| 役割 | ニオイの元となる脂質やタンパク質を効率よく分解し、強いニオイ物質を大量に作り出す。 | 汗の成分を分解しても、ニオイの弱い物質しか作らない。 |
ニオう人は、ニオイの元となる成分(アポクリン汗)が濃く大量に出るうえに、それを効率よく分解してニオイに変える菌を多く持っているため、ニオイが強くなるんです。
アポクリン汗腺はみんなにありますが、ニオう人とニオわない人の違いは、「遺伝によって決まった汗腺の量と濃さ」と、「ニオイ物質を作りやすい菌がいるかどうか」という3つの要因の組み合わせで決まります。
つまり、ニオイが強い人は、ニオイ成分を出す量も、それを分解する能力も高いという「体質の個性」を持っているということです。原因を知れば、適切な殺菌・制汗ケアで対策が可能になります
部位ごとのアポクリン汗腺の臭いの種類大全


アポクリン汗腺は全身に散らばっていて、その部位ごとでにおいが強い体質の名称が違います。
【アポクリン汗腺が原因の体臭】ワキガ(腋臭症)
脇にあるアポクリン汗腺が発達していて、強い臭いを発する体質をワキガまたは腋臭症(えきしゅうしょう)と言います。
汗腺の密度が最も高く、腕を動かすためニオイが拡散しやすいため、アポクリン汗腺が原因の体臭の中でも最も悩む人が多いと言われています。


【アポクリン汗腺が原因の体臭】チチガ(乳輪わきが)
乳輪(胸)にあるアポクリン汗腺が発達していて、ワキガのような独特の臭いを発する体質のことをチチガ、または乳輪わきがと言います。
下着や服で常に密閉され、温度が高く、菌が繁殖しやすいため臭いが強くなります。
ホルモンバランスが関係しているので、女性では妊娠出産・更年期などにチチガを自覚する人が多いと言われています。


【アポクリン汗腺が原因の体臭】スソガ(すそわきが・外陰部臭症)
デリケートゾーン(鼠蹊部・外陰部)のアポクリン汗腺が発達していて、ワキガの様な独特の臭いを発する体質をスソガ・すそわきが・外陰部臭症(がいいんぶしゅうしょう)と言います。俗称ではトベラと呼ばれることもあります。
尿や便、生理の血液などが混ざり、菌のエサが多いため、場所的にもどうしてもニオイが複雑化しやすいです。
下着と衣類で匂いが外部に漏れることは少ないと言われていますが、夏場や衣類選びを間違えると臭いが強くなる可能性があります。


【アポクリン汗腺が原因の体臭】ケツガ (お尻わきが)
お尻のしわや肛門周りのアポクリン汗腺が発達していて、ワキガのような臭いを発する体質をケツガ・お尻わきがなどといいます。
ワキガやスソガ、チチガに比べて自分で気づくことが難しい部分なので、パートナーに指摘されて初めて気づく人も多いと言います。


アポクリン汗腺が原因の体臭を減らす対策
ニオイの根本解決は、「アポクリン汗腺から汗を分泌させないこと」と「ニオイ菌を増やさないこと」の2つです。
対策①:汗腺への刺激を減らす(交感神経ケア)
心の状態がニオイに直結するため、まずはリラックスすることが大切です。
- ストレス管理: 緊張したら深呼吸をする、しっかり睡眠をとるなど、交感神経を落ち着かせる生活を意識しましょう。
- 食生活の見直し: 肉や脂質の多い食事はニオイ成分を濃くします。野菜や和食を中心とした食生活を心がけましょう。または、このブログで紹介している四毒抜きの食事法もお勧めです。
対策②:下着・衣類の素材を通気性よくする
- 下着を綿100パーセントに変える:ポリエステルなどの化学繊維は、通気性が悪くアポクリン汗の臭いを増大させる可能性があります。できるだけ、綿などの通気性の良いものに変えましょう。
対策③:物理的にニオイの発生を阻止する(アイテム)
- 殺菌成分の活用: ニオイの元となる菌を殺す殺菌成分(IPMPなど)」を含んだ専用のアイテムで、菌の繁殖をストップさせます。
- 制汗成分の活用: 汗腺から汗が出ること自体を抑える「制汗成分(ミョウバンなど)」で、アポクリン汗腺の活動をブロックします。


アポクリン汗腺が原因の匂いと体臭について解説まとめ
あなたが抱えるニオイの悩みは、あなたの体が持つ「アポクリン汗腺」という特別なメカニズムから来ています。それは病気ではなく、単なる体質です。
原因がわかれば、対策は可能です。あなたの悩みに合わせて、具体的な部位ごとの対策を専門記事でチェックし、ニオイの不安から解放されましょう。



コメント